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退職は何日前に伝えるべき?法律に則って円満に退職しよう

退職の伝え方

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「転職先が決まった」「退職して一旦休みたい」など、仕事をやめる決意をした後に困ってしまうのが会社への退職の伝え方ですよね。お世話になった会社なら、なるべく迷惑をかけず円満に退職したいものです。

いつ、誰に、どうやって退職を伝えればいいのか?この記事では、誰もが気になるそんな疑問にお答えします。

根拠となる法律もあわせて紹介しますので、これさえ読めばトラブルなくスムーズに会社をやめられるはずです!

退職の伝え方について良くある疑問
~このページで解決します!~
退職は何日前に伝えるべき?
1ヶ月~2ヶ月前に直属の上司に報告し、1ヶ月前には退職届提出が理想です。

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最短だと何日後にやめられる?
民法の規定上、基本的には退職届を提出してから2週間後には退職できます。ただし例外もあるので注意が必要です。

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退職交渉で何を言えばいい?
退職日と退職理由さえきちんと伝えれば大丈夫です。事前に準備しておきましょう。

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もう待てない!今すぐ会社をやめられる?
例外的に即日で会社をやめられるケースもあります。辛いときは無理せず退職を検討しましょう。

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目次
【弁護士監修】退職は何日前に伝えるべき?法律に則ってスムーズに退職しよう

退職は何日前に伝えるべき?

会社をやめる意思が固まったら、理想としては退職日の1~2ヶ月前には直属の上司に直接口頭で相談し、1ヶ月前には退職届を提出しましょう。円満に会社をやめるためには、時間に余裕を持つことが重要です。

ただし、転職先がぎりぎりに決まったり、体調を崩したりなど切羽詰まった事情がある場合は、民法上の規定で退職届を出した2週間後に会社をやめられることになっています(例外あり)。

理想的な伝え方

差し迫った事情がなく、時間に余裕がある場合は1~2ヶ月前から退職の準備を始めましょう。時間に余裕を持って会社へ相談することで、穏便に退職できる可能性も高まります。

1~2ヶ月前には退職交渉を始めよう!

退職を決意したら、退職日の1~2ヶ月前には直属の上司に直接退職したい旨を相談します。

仕事の引き継ぎや後任を探す時間もあるので、1~2ヶ月前などなるべく早い段階で報告した方がいいでしょう。

報告する相手は直属の上司が無難です。いきなり社長や部長などに報告してしまうと、直属の上司の管理責任が問われてしまうケースもあります。また、直属の上司に報告するまでは、万が一情報が漏れてしまうことを防ぐため、同僚や先輩にも退職することは話さないでおきましょう。

退職交渉は、上司と口頭で直接で行うのがベストです。お世話になったお礼はもちろんですが、退職日や退職理由を正確に伝え、スムーズに退職できるよう味方になってもらえたらいいですね。

退職交渉の際伝えるべき内容については、こちらをご覧ください。

1ヶ月前には退職届を出そう!

直属の上司と退職交渉が無事に終わったら、退職日の1ヶ月程度前に退職届を提出するのが理想的です。

この1ヶ月という期間はあくまで目安となります。就業規則で「退職の申し入れは1ヶ月前にする」旨を定めている会社が多いので、1ヶ月見ておけば安心でしょう。

ただ、1ヶ月以上の期間を設けている会社もあります。事前に自分の会社の就業規則を確認しておきましょう。

退職を伝えるスケジュール

時間がないときの伝え方

会社に迷惑は掛けたくないけれど、やむを得ない事情で急がなければならないときは、最短で退職日の2週間前に退職届を出せば会社をやめられます。ただし、働き方によっては最短日数が変わる可能性もあるので注意が必要です。

2週間前には退職届を出そう!

転職先との兼ね合いや、体調不良などで1日でも早く会社を退職したい場合、退職したい日付の2週間前に退職届を出せば大丈夫です。

民法で、退職の申し入れから2週間後には会社をやめられることが規定されています。

就業規則で「1ヶ月前には退職を報告するように」など、2週間より長い期間が定められている場合でも大丈夫です。就業規則という会社独自のルールより、国の法律である民法が優先されます。

会社の都合を最大限考慮するのであれば、就業規則に則った退職手続きが望ましいですが、どうしても時間がないときはこの「2週間」という期間さえ守っておけば問題ありません。

この「2週間」規定が適用されるのは、雇用期間に定めのない正社員、時給制の非正規労働者などです。

【民法第627条第1項】

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。

2週間以上かかる例外も!

退職届を提出してから2週間後には会社をやめられるというのが定説になっていますが、例外もあります。月単位や年単位など期限付きの契約社員など非正規労働者、また完全月給制や年俸制の正社員です。

契約社員など雇用に期限が定められたケースはわかりやすいですが、正社員でも2週間でやめられない場合があるんですね。

多くの場合、役職のない一般社員だと日給月給制と呼ばれる給料制度がとられています。1日単位で給料が定められ、労働日数に応じて給料が毎月1回支払われる制度です。そのため、完全月給制や年俸制は例外と言えます。

完全月給制とは、月単位で支払われる報酬が決まっている制度。完全月給制ではお給料の月額が固定されているため、欠勤や遅刻があってもお給料が引かれないシステムになっています。また、年俸制とは年単位で支払われる報酬が決まっているシステムです。

完全月給制は、企業の取締役などに適用されていて、休日や祝日などの時間外に働いても給与額が変わりません。

上記に該当する労働者の場合は、民法で退職日までの計算方法が以下のように規定されています。

【民法第627条第2項】(完全月給制、月更新の契約社員など)

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
【最短のやめ方例】末締めの場合、9月の1日~15日に退職の申し入れをすると9月末に退職可

【民法第627条第3項】(年俸制、半期年俸制、年更新の契約社員など)

六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。
【最短のやめ方例】3月締めの場合、12月末までに退職の申し入れをすると3月末に退職可

2週間で退職できない社員

退職を上手に伝えるポイントは?

いざ退職を伝えようとなると誰でも緊張してしまいますよね。しかし、退職日、退職理由など上司に伝える内容をしっかりイメージしておけばスムーズに退職交渉ができるはずです。

退職日を明確に伝えよう!

退職交渉にあたっては、自分の退職希望日を必ず明確に伝えましょう。退職日が曖昧だと会社に退職を引き留められたり、引き伸ばされてしまう可能性があるからです。

したがって、退職日は退職交渉前に決めておくと安心です。

退職日は、退職を伝える日から1ヶ月~2ヶ月後くらいであれば問題ありません。その他、以下の3点に気を付けるといいでしょう。

退職日の決め方① 有給休暇の残日数

有給休暇が残っている場合は、全て消化することをオススメします。有給休暇を全消化した上で、いつ頃を退職日とするのか事前に考えておくとスムーズですね。

また、有給休暇の取得方法としては、最終出勤日から退職日までまとめて消化するのか、働きながら少しずつ取得するのかの2パターンが考えられます。

仕事や引継ぎの状況を見ながら、上司と相談して決めるといいでしょう。

退職日の決め方② 転職先との兼ね合い

転職先の会社が決まっている場合は、転職先に「いつまで入社を待ってもらえるのか」事前に確認しておく必要があります。

今の会社にも、次の会社にも迷惑を掛けないように充分に気を付けましょう。

退職日の決め方③ ボーナスの支給タイミング

時期的に可能であれば、ボーナスの支給後に退職すると退職後の経済的な不安が軽くなりますね。

転職先の都合や切羽詰まった状況で退職時期が変えられない場合は仕方ありませんが、ボーナスの支給時期後に退職時期をずらせそうな場合は、調整しておくといいでしょう。

退職理由を前向きに伝えよう!

退職交渉の際は、退職理由をしっかりと伝えることも重要になります。公的な退職手続き書類に記載する退職理由は「一身上の都合」で充分ですが、直属の上司と面談する際は、個人的な事情や前向きな理由を伝えると効果的でしょう。

なぜなら、退職理由が今の会社への不満しかなかったり曖昧だったりすると、「部署を異動する」「給与を上げる」など好条件とともに引き留められる可能性があるからです。

「どうしても次の職場でやりたい仕事がある」というポジティブな理由や、「配偶者の転勤についていきたい」という個人的な理由など、今の会社に気持ちよく送り出してもらえるような退職理由を伝えられるといいですね。

今の会社への不満や文句もたくさんあるとは思いますが、円満退職を目指すなら、前向きな退職理由をお伝えすることをオススメします。

前向きな退職理由

トラブルが起きても大丈夫?

なるべく円満に退職したいと思っていても、会社側との交渉が上手くいかない可能性もありますよね。基本的に会社に労働者の退職を拒む権利はありません。

また、退職を決めたとしても残っている有給休暇は全て消化できます。会社に文句を言われそうになったときは、以下の内容を確認してみてください。

有給休暇を許可してもらえない

有給休暇が残ってるのに取得できないと言われてしまっても、心配ありません。会社には労働者の有給休暇取得を拒む権利はないのです。

会社は「時季変更権」といって労働者の有給休暇の取得時期を変更する権利は持っていますが、取得自体を拒むことはできません。これから退職しようとしている労働者に対して有給休暇の取得を遅らせることはできないので、有給休暇は確実に消化できます。

有給休暇の取得は労働者の権利です。上記の内容を上司に伝えてみましょう。

会社から強く引き留められてしまう

「人手が足りない」「勝手なことを言うな」などと会社から強く引き留められて退職を認めてもらえなかったら、他の上司や人事部など別の人に相談してみましょう。それでもらちが明かなければ、最終手段として退職届を郵送で提出することが可能です。

きちんと手順を守って退職交渉を行った労働者の退職を会社が拒むことはできません。複数人に相談しても難しい場合や、パワハラや脅しのような対応を取られてしまった場合は、無理して会社に行かなくても大丈夫です。

内容証明郵便といって、郵便局が郵便物の内容を証明してくれるサービスがあります。この内容証明郵便を利用して退職届などを郵送すれば、出社しなくても退職の申し入れができるのです。

出社せずに退職する方法についての詳細は、こちらをご覧ください。

会社に引き留められる

スピード退職できる4つのパターン

ここまで、「円満退職のためには早めに退職を相談しよう」「最短でも、退職届の提出から退職日まで2週間かかる(働き方によっては2週間以上かかる)」という説明をしてきました。

しかし、民法や労働基準法の規定によって、スピード退職できる例外があります。

退職日前ギリギリに会社に報告することは本来避けるべきですが、差し迫った事情がある場合は致し方ありません。「一日でも早く会社をやめたい!」という方は、自分が以下4つのパターンいずれかに当てはまるか確認してみてください。

パターン① 会社の合意が得られた

全ての人に当てはまるケースです。極端な話、退職交渉の際会社の合意が得られれば明日付けで退職できます。

ただし、これは珍しいパターンです。仕事の引き継ぎ、手続きなどで時間がかかる場合がほとんどなので、あまり期待しないようにしましょう。

パターン② 異なる労働条件で働いていた

このパターンも全ての人に当てはまる可能性があります。当初結んだ労働契約と異なる条件で働いてた場合は即日退職ができます。つまり、退職したいと言ったその日に退職が可能です。

具体的には、「提示されていた給与や休暇がもらえない」、「全く違う業務内容を担当されている」といったケースなどが該当します。

過酷な労働環境で無理をする必要はありません。会社の都合より、自分の都合を優先させましょう。

異なる労働条件

パターン③ やむを得ない事由ができた

完全月給制・年俸制の正社員や、期限付きの契約社員などの場合、退職の意思表示をしてから実際に退職できるまで時間がかかる旨をこちらで説明しました。

しかし、これらの働き方をしている人々にも救済措置があります。「やむを得ない事由」があれば、すぐに会社をやめることができるのです。

「やむを得ない事由」の例としては、本人の心身の障害・疾病、両親や子どもの病気の介護、職場で受けたハラスメントなどが考えられます。

無理をして仕事を続けようとせず、退職の相談をしてみましょう。

【民法第628条】

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

パターン④ 1年以上雇用契約を結んだ会社で1年以上勤務した

期限付きの契約社員などで、1年以上の労働契約を結び、かつ1年以上継続して勤務している場合もただちに退職する権利があります。

この場合、特に理由などを問われることはありません。会社をやめなければならない事情ができた場合は、すぐに退職ができます。

【労働基準法第137条】

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

1年以上継続勤務で退職

まとめ

この記事では会社をスムーズに退職するために知識をお伝えしてきました。会社の都合と自分の都合を総合的に考慮して余裕を持って退職交渉をするのが理想ですが、転職や体調などの事情で上手くいかないこともありますよね。

会社に行くのがどうしても辛い場合は一日も出社せずに会社をやめる方法もあります。無理せず、自分らしい退職の方法を考えていきましょう。

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