この記事の目次

支払調書とは?源泉徴収票との違いや提出義務などを解説

支払調書

<本メディアでは一部、事業者から商品やサービスの広告出稿を受け収益化しています>
------------

「支払調書」について聞いたことのある人は多いでしょう。特に、年末調整の際に聞いたことがあるのではないでしょうか。

【2019年最新】 ▼ 士業のチカラおすすめの請求書作成サービス

支払調書について良くある疑問
~このページで解決します!~
支払調書ってなに?
誰が誰にどんな内容でいくら支払ったのかを税務署に報告するための書類です。

>>もっと詳細を知る

支払調書と源泉徴収票の違いはなに?
どちらも所得税納税のために所得額等の情報を記したものですが、提出義務や給与/報酬受給者の種類に違いがあります。

>>もっと詳細を知る

支払調書の提出期限は?
1月末までに税務署に提出してください。

>>もっと詳細を知る

支払調書は提出必須ですか?
税務署への提出は必須です。報酬受給者に対しての提出は義務ではありませんが、商習慣として送付する企業も多いです。

>>もっと詳細を知る

目次
支払調書とは

支払調書とは

支払調書とは、誰が誰にどんな内容でいくら支払ったのかを税務署に報告するための書類です。

フリーランスのデザイナーなどは確定申告をして所得税を納めますが、税務署は申告された金額が正しいことを確かめる必要があります。さもなくば実際の所得額より低く申告されても気が付かず、脱税されてしまいます。

一つの企業に勤めている従業員の所得額や源泉徴収額等は企業からの年末調整資料によって把握できますが、様々な企業から外注を受けて所得を得ているフリーランスの場合はそうではありません。フリーランスの報酬合計額は、フリーランスに報酬を支払った複数の企業から支払調書を提出してもらうことで把握できるようになります。税務署は、確定申告で申告された情報と各企業から提出された支払調書の情報を比較することで、正しい申告がされているか確認できるのです。

国が正確に所得状況を把握し、正しい所得税を課すために支払調書は必要です。

支払調書が必要な理由

源泉徴収票との違い

会社員であれば、自身の給与から毎月「源泉徴収」という項目で収入額から税金が引かれていることに気づくでしょう。源泉徴収税とはその年の所得税をあらかじめ徴税しておく仮の所得税のことで、源泉徴収税額がその年の所得税額よりも大きければ税金が還付されます。

実は「源泉徴収」は、従業員だけではなくフリーランスなどの収入でも徴収されます。例えばある企業がフリーのデザイナーに会社ホームページのデザインを外注したとします。当然ながらデザイナーには報酬を支払うのですが、その報酬は従業員の給与と同じく源泉徴収税を差し引いて支払っています。

企業は、従業員への給与と源泉徴収税額は「源泉徴収票」に記し、フリーランスに支払った報酬額と源泉徴収税額は「支払調書」に記して税務署に提出するのです。

また、源泉徴収票は従業員に対して企業が交付する義務のある書類ですが、支払い調書は報酬受給者に対する交付義務はありません。

還付の仕組み

還付の仕組み

フリーランスは、確定申告において、①その年一年間(1月~12月)の所得を確定させて、その所得に応じて②納税すべきだった所得税を算出し、③毎月徴収していた源泉徴収税の合計額を申告書類に記載して提出します。④所得税と源泉徴収税との差額があれば、差額が還付もしくは追加徴税で清算されます。

ヒント

支払調書は税務署に提出ことが義務となっていますが、報酬の受け取り者に対しての発行は義務ではありません。そのため、個人事業主が確定申告の際に源泉徴収された額を記載する際に、今自分がいくら源泉徴収されているのかわからなくなっている人も多いでしょう。基本的に報酬を支払っている会社に頼めば支払調書を発行してくれて源泉徴収額を確認できますが、念のため先方に送った請求書と実際の入金額の差(=源泉徴収額)を随時メモしておくなど、自分で常に帳簿をつけておくようにしましょう。

例えば、Amazonでは支払調書をユーザー向けには発行しないことを宣言しました。Amazonからの支払額が規定以上ある場合、自分で源泉徴収額を算出しなけれなりません。Amazon以外のASPやディスプレイ広告で源泉を徴収している事業者はほとんどなく、例外的に考えておけばよいでしょう。

もちろん、源泉徴収された側が、確定申告の際に支払い調書を添付しなければならないわけではありません。

誰が作成するの?

支払調書を作成するのは、源泉徴収義務者に限られます。

源泉徴収義務者とは以下の条件に当てはまる企業、個人のこと。以下の条件に当てはまらなければ、源泉徴収の義務はなく、当然支払調書の作成&提出義務はありません。

  • 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
  • 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人(例えば、給与所得者が確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)

例えば、従業員を雇っていて給与を支払っている法人源泉徴収義務者となります。個人事業主の場合は、青色専属従者やアルバイトなどを雇っていれば義務者となります。
逆に、従業員を雇っておらず、給与を支払っていないのであれば、源泉徴収義務者ではありません。この場合、外注しても支払調書を作成する義務はありません。

また、源泉徴収義務者であっても、支払い調書を必ず作成するわけではありません。支払調書を作成する必要があるのは、以下のような場合です。

  1. 外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬・料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
  2. 馬主に支払う競馬の賞金については、その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払を受けた者に係るその年中の全ての支払金額
  3. プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
  4. 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
  5. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの

支払対象や金額が当てはまらない場合(デザイナーへの外注費が年間で5万円を超えなかった場合など)は、源泉徴収義務者であっても支払調書を提出する必要ありません。

提出時期

支払調書は、報酬支払先へのその年中の全て支払いが終わった時点で作成し、翌年1月末までに税務署に提出します。

継続的に仕事を依頼しているフリーランスの方がいる場合などは、12月の支払が終わってから、もしくは、今年はもう報酬を発生させる仕事を依頼しないことが確定してから作成しよう。

支払調書の提出方法

支払調書は、管轄の税務署へ直接手渡しで提出するか、郵送で提出します。
支払調書自体の作成には以下の手法があります。

  • 税務署から送られてくる支払調書に情報を記載する
  • 税務署のホームページから支払調書を印刷して記載する
  • CD-ROMなどに情報を記入して提出する(要事前申請)
  • e-Tax(国税電子申告・納税システム)からの提出(要事前手続き)

支払調書が1,000枚以上になる場合は、CD-ROM等の電子データでの提出か、e-Tax利用が必要なので、事前に確認しておきましょう。

支払調書を税務署に提出しなかったらどうなる?

提出しなかった場合は最大1年の懲役または50万円以下の罰金(所得税法242条)が定められています。確実に提出するようにしよう。

支払調書とマイナンバー

最近、支払いを受けるものが個人事業主だった場合には、支払い調書にマイナンバーを記載することになりました。作成している人は変更があったので気を付けましょう。支払いを受けるものが法人であれば法人番号を記載します。

また、報酬を支払った先から支払い調書を発行してほしいという依頼がくる場合があります。その場合、支払い調書を送る際にマイナンバーを記載していないことを確認しよう。マイナンバーを記載した書類を紛失すると、4年以下の懲役または200万円以下の罰金または併科が課される可能性があります。個人事業主は確定申告のために正確な源泉徴収額を知ることが目的であることが殆どなので、それが実現出来る別の方法をとっても良いでしょう。

支払調書の種類

支払調書は「法定調書」に含まれる概念で、「法定調書」とは支払い調書と源泉徴収票の複合的な概念です。法定調書(=税務署に提出義務のある書類)は59種類あり、その中で支払調書は35種類です。「法定調書」は税務署に提出することが義務付けられている書類ですので、支払調書は税務署への提出義務のある書類です。

支払調書の概念図

支払調書には、支払う対象や報酬の種類によって種類があります。代表的なものは以下。

【代表的な支払調書】
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 利子等の支払調書
  • 国外公社債等の利子等の支払調書

このように支払調書には多くの種類がありますが、全てに共通して誰が誰にいくらの報酬を支払ったかを記した書類です。どの支払調書も、報酬の種類や受け取る人の種類が変わるだけで目的は大きく変わりません。

ちなみにこれまで説明のために使用した例であるデザイナーの外注費に関する支払情報は、上記リストの「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」に情報を記載して税務署に提出することになっています。支払調書と言えば、この「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を示していることが殆どです。

【2019年最新】 ▼ 士業のチカラおすすめの請求書作成サービス

keyboard_arrow_up